カラダと姿勢・動きのトータルケアスタジオ カラダ Design Lab.®︎

腰痛を引き起こす「姿勢」と「腰に加わる力学的負荷」

  • 2016年9月19日
  • 2019年1月21日
  • 腰痛

【前回までの記事】
治るんじゃない?その腰痛。
:①〜手術が必要となる前に、健やかな腰をあなたにも。〜
:②腰に生じる疾患と力学的負荷の理解Ⅰ
:③腰に生じる疾患と力学的負荷の理解Ⅱ
の続きです。

治るんじゃない?その腰痛。手術するまで放っておくの?

今回は、姿勢の取り方がどのように腰へ負担をかけるのか?を、一緒に考えてみましょう。


CONTENTS


物理的な力が「一点に集中」すると、組織の破壊につながる

ここまでこれらの病態を局所的な状態から見ていきましたが、次は全身との関係性で考えてみましょう。

例えばこの2つの姿勢で考えてみます。

(他にも様々な姿勢や動きによって負担をかける場合が多々ありますが、便宜上ここではこの2つに絞ります。)

女性に多い姿勢

このような2つのパターンの姿勢を取っている方が非常に多いのですが、このような姿勢の方が腰痛に悩むことが多くなります。

[①の姿勢]は、「お腹を突き出すような姿勢」です。
このような姿勢と取っているとお腹にも腰にも力が入りません

腰の部分では主に骨だけで上半身の重みを支えています。

[②の姿勢]は、「お尻を突き出すように腰を反った姿勢」です。
このような姿勢では腰に過剰に力が入ってしまう上に、お腹に力はほとんど入りません

では先ほどの姿勢に上半身の重心と重力方向のベクトルを書き加えてみましょう。

 上半身の重心が姿勢によって腰にどのような負担をかけるのか?

①の場合は、
上半身の重心が後方へ位置し、その重みが腰のかなり後方を通過しているのがわかります。
このベクトルは腰の反りを増強させる方向へと働き、椎間関節に加わる負担を増大させます。

②の場合は、
上半身の重心が前方へ位置し骨盤・股関節の前方を通過するようになります。
このベクトルは骨盤を前方へ傾く方向へと働き、お尻の筋肉(特に上方)に過剰に力が入りやすくなります。
さらに、骨盤が前方へ傾くと必然的に腰の反りは強まりますので、腰の筋肉も余計に働くようになります。

今回の記事は前回までと異なり、「腰」という幅広い概念で話を進めていますが、この姿勢の取り方の微妙な差によって、腰のどの骨のどの部分に最も大きな負担が加わるのかが決まってくるのです。

その一点に負荷が集中することで前回までに紹介したような、腰椎分離症腰椎すべり症腰椎椎間板ヘルニアなどの様々な病態を引き起こすことになります。

物理的な力は、いくらでも分散させられる

力を分散させていく上で、「身体の柔軟性」、「姿勢」、「身体の使い方」は非常に重要な要素となります。

<身体の柔軟性>

「関節や筋肉」が硬くて、そもそも動き(柔軟性)が乏しい場合、負担を減らしたくても減らす方向へ関節が動かない場合が多々あります。
この硬さが強いと、どれだけ姿勢や動きだけを変えようとしてもほとんど効果は得られません
まず必要な姿勢・動きを作るための最低限の柔軟性が必要です。

<姿勢>



そして「姿勢」が悪いと、前述のように一部分に負担をかけてしまいます。
立っている姿勢以外でも座っている姿勢も同様です。
身体に負担が少なく、そして動きやすい座り方・立ち方を学び、日常に取り入れていく必要があります。

<身体の使い方>

「身体の使い方」は、今回の場合「腰をはじめとする身体の動きのコントロールの仕方」ですね。もちろんこのコントロールがうまく行えていないと、負担が増大することは明確です。

例えば、
重いものを持ち上げようとしているのに腰を丸めていると、椎間板ヘルニアを発症してしまうような負担が腰に加わります。

逆に腰を反りすぎた状態で同じことを行おうとすると、腰椎分離症脊椎すべり症を発症してしまうような負担が加わるのです。

整形外科領域で生じる病態は、

「身体に加わる物理的な外力」 と

「身体内部の組織による応力」でほぼ説明がつく。

つまり、「身体の柔軟性」、「姿勢」、「身体の使い方」さえ適切であれば、身体に生じる痛みや怪我の大部分は防ぐことが可能ということです。

(交通事故などによる骨折やOPLL[後縦靭帯骨化症]、骨肉腫など特殊な病態を除きます。日常生活や仕事、スポーツなどにおける怪我や痛み、そこから派生する病態と理解してください。)

カラダに常に加わり続ける重力と、身体各部位・関節の位置関係、そして筋肉への力の入れ方で、どこにどのような負担がかかるのかが決定されます。
それは止まっているときでも動いているときでも同様です。

これを適切に把握しようとすると、身体各部位の詳細な解剖学、運動学、生理学、物理学などの知識をもとに、姿勢・動作を分析する能力が必須となるのです。

これは他の職種にはない私たち理学療法士にとっての専門的な知識、技術、能力となります。
(もちろん同じ理学療法士でも能力の差はあります。)

ここまでの計4回に渡り、腰の病態を力学的負荷を捉えることの重要性、そして姿勢との関連性をお伝えしてきました。

次回、
治るんじゃない?その腰痛。:⑤腰痛を改善させるために必要なこと。〜筋トレで良くなるという幻想〜
では具体的に、

身体にとってどのような状態が必要で、
腰痛を改善させていく上でどのような取り組みが必要であるか?

をお伝えしていきます。

お楽しみに☆

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堤 和也

@滋賀県大津市石山・瀬田

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