【前回の記事】
治るんじゃない?その腰痛。
→ :①〜手術が必要となる前に、健やかな腰をあなたにも。〜
の続きです。
今回は、腰に生じる様々な疾患の中でも、
腰椎分離症 と 腰椎すべり症、椎間関節症を挙げ、なぜそのような病態に陥るのか、
その原因を力学的な負荷から一緒に考えていきましょう。
CONTENTS
腰痛の原因になる「物理的な力」
そもそもなぜ腰を痛めるような状態になるのでしょうか?
まずは腰の骨そのものの構造の理解を深めましょう。
腰の骨(腰椎)を一つ取り出してみると右の図のような構造をしています。
そして、この骨が椎間板というクッションを介して上下につながっています。(左図)
これがさらに下に行けば骨盤へ、上に行けば肋骨につながる胸椎へとつながるわけですね。
ではこの腰を痛める原因を、腰に起こる病態から深く考えてみましょう。
腰椎分離症
脊椎分離症は、上関節突起と下関節突起との間に起こる力学的な負担によって発生すると考えるのが妥当です。
背骨の関節(椎間関節)がどこにあるかというと、ちょうど椎間板の真後ろあたりにあります。
ちょうど上と下の関節突起が重なり合うところですね。(上図の赤い点線丸)
では分離症が生じる力学的負荷はどのようなものなのでしょうか?
腰椎の前弯(反り)が強くなりすぎると、下の左の図のような状態となります。
反り(弯曲)の強い部分では、腰椎の後方が強く圧縮され、上半身の重みにより腰椎が前方へ飛び出すような負担が生じます。
すると、その弯曲のてっぺんにある椎体(赤い太矢印)は前に飛び出そうと力が働きますが、背骨の後方では上下の関節突起によってその場に留まるように働きます。(上の右図)
ある程度はこのまま力学的な均衡が保たれ、関節周辺に痛みが生じたとしても骨そのものには大きな問題を起こすことはありません。
しかし、この負荷が頻回かつ長時間、強く加わり続けると、いつしか骨の許容量を超えます。
するとどうなるか?
椎弓と椎体が引き離されるようにして骨が折れて「分離」してしまうのです。(上の右図)
これが腰椎分離症の大きな原因です。
この力学的負荷に加えて、「腰椎の前弯(反り)が強い」という身体の状態が腰椎分離症を生み出す温床になっているのです。
特に若い頃のスポーツで発症していることが多いですね。
腰椎椎間関節症
さらに、腰の反りが強いと椎体の後方にある関節同士を圧迫するように働く力が非常に大きくなりますので、「椎間関節症」という関節や関節周辺の組織を痛めてしまう病態を引き起こすこともありますので注意が必要です。
腰椎すべり症
そして、腰の骨が前方へずれるようになってしまうと、「腰椎すべり症」と診断されるわけです。
「腰椎分離症」と「腰椎すべり症」は同じような力学的負荷によって生じるため、両者が合併しやすいのです。
次回、
治るんじゃない?その腰痛。手術するの?:③腰痛を引き起こす整形外科疾患と力学的負荷の理解Ⅱ
では、今回と同様に腰に加わる力学的負荷が、
腰椎椎間板ヘルニア、ぎっくり腰(急性腰痛)、脊柱管狭窄症
にどのようにつながるのかについてお伝えしていきます。
お楽しみに☆
カラダと姿勢・動きをデザインする。
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堤 和也
@滋賀県大津市石山・瀬田
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