【前回までの記事】
治るんじゃない?その腰痛。
→
:①〜手術が必要となる前に、健やかな腰をあなたにも。〜
→ :②腰に生じる疾患と力学的負荷の理解Ⅰ
の続きです。
前回の腰椎分離症 と 腰椎すべり症、椎間関節症に引き続き、
今回は腰椎椎間板ヘルニア、ぎっくり腰(急性腰痛)、脊柱管狭窄症について、
その原因を力学的な負荷から一緒に考えていきましょう。
CONTENTS
腰椎椎間板ヘルニア
次は椎間板ヘルニアについて一緒に考えていきましょう。
前回に示した腰椎と椎間板の図を縦にスパッと切るとこのような断面になります。
腰椎と脊髄と椎間板とはこのような構造をしています。
椎間板の中央には「髄核」というゼリー状の組織がボール状に存在します。
髄核は身体が前かがみになれば後方へ、反り気味になれば前方へと動きに応じて位置や形状を大きく変化させます。
この髄核の丸い形状を 線維輪 という膜が何層にも重なり合うことで守っているのです。
つまり、椎間板の中でも「髄核」と「線維輪」が機能することによって、椎間板のクッション性が保たれているということです。
この 線維輪が破れ、髄核が後方へ突出するように変化してしまったもの が「椎間板ヘルニア」と呼ばれる病態になります。
ではなぜこの線維輪を破壊するような力が体に加わるのでしょうか?
例えば、体を丸めるとこの上の左図ような状態になりますよね。
体を丸めると髄核には後方へ移動するような力学的負荷が加わります。
この 髄核に負担が加わり続けるということ は、髄核を支えている線維輪にも負担が加わるということ です。
この 線維輪 も 頻回かつ長時間加わり続ける強い負担、もしくは瞬間的な強い負担によって、いつしか破綻してしまいます。
すると 線維輪を突き破って髄核が後方へ飛び出すようになる のです。
線維輪が痛んでいたとしても、後方へ飛び出さずなんとかその場で止まっていてくれれば、神経を圧迫することもないので多少の腰痛は感じたとしても、手術が必要となる大きな病態には陥りません。
しかし 線維輪の破壊が進み、髄核が後方へ飛び出し神経を圧迫するレベルにまで進展してしまうと…
「椎間板ヘルニア」 という病態へと変わるのです。
すると 神経を圧迫し、腰痛だけでなく足の痺れ、足の筋肉の麻痺、さらには膀胱直腸障害などの神経症状を引き起こす のです。
ぎっくり腰(急性腰痛)
ここまで挙げてきたような 過剰な負担が、一度に、瞬間的に、筋肉や関節で生じてくると、「ぎっくり腰(急性腰痛)」 になるわけですね。
ぎっくり腰は、背中が丸まっている状態でも、反っている状態でも引き起こされることがあります。
ぎっくり腰では、この「過剰な負担が、一度に、瞬間的に」というところがポイントです。
つまり、普段の姿勢だけではなく、重いものを持ち上げるといった動作の最中でもしっかりと腰をニュートラルな位置に保つ必要があるのです。(これについては、今後まとめていきます。)
そしてぎっくり腰を引き起こすと、筋肉や関節を傷めます。
するとこれらの組織も弱ってしまいますよね。
筋や関節が弱っている上に、腰に負担をかけやすい姿勢やカラダの使い方をしてしまうので、ぎっくり腰は何度も繰り返してしまうのです。
脊柱管狭窄症
「脊柱管狭窄症」は腰椎分離症やすべり症、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症が複合的に出現し合った結果、脊髄の通る脊柱管が狭くなりを脊髄や神経根を圧迫することによって、神経症状を引き起こすものです。
特に脊柱管狭窄症は、他の疾患に比べて、突発的な原因があることはほとんどなく、ここまで挙げてきた腰への負担が蓄積され、いつの間にか重症化していることが非常に多いのです。
そのため、脊柱管狭窄症は加齢とともに進行する「退行性変化」に起因すると言われます。
しかし、ここまでお読みいただければ、ただ単に歳のせいだけで脊柱管狭窄症を発症するわけではないことはお分りいただけますよね。
普段の腰への負担のかけ過ぎこそが脊柱管狭窄症の根本的な原因です。
なんでもかんでも「歳のせい」と決めつけてしまわないで、その原因をはっきりと認識しましょう。
このように原因がしっかりと分かれば、「未然に発症を予防」もしくは「悪化を予防」することが可能なのです!
では次回は、ここまでの話を踏まえた上で、
治るんじゃない?その腰痛。:④「姿勢」と「腰に加わる力学的負荷」
についてお伝えしていきます。
お楽しみに☆
カラダと姿勢・動きをデザインする。
カラダ Design Lab.
カラダデザインラボ
堤 和也
@滋賀県大津市石山・瀬田
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