カラダと姿勢・動きのトータルケアスタジオ カラダ Design Lab.®︎

動きの『桶(おけ)理論』

勉強やスポーツ、ビジネスなど様々な分野で、
かつ個人、組織に関わらずあらゆる能力の成長を図る上で、

『得意を伸ばす』

のが良いのか?

『苦手を克服する』

のが良いのか?

このような議論がなされることがあります。

最近の風潮としては、『得意を伸ばすこと』にフォーカスされがちですが、こと身体と動きにとっては、『苦手を克服する』ということも非常に重要であるため、カラダ Design Lab.では、『苦手を克服』しながら、それが同時に『得意を伸ばす』ことにつながる方法を追究し、様々なお悩みをお持ちのクライアントへ運動を処方しております。

今日はこの点を栄養学の分野で用いられることの多い『桶(おけ)理論』をヒントに、なぜ苦手の克服が重要なのかを『動きの桶理論』に置き換えて考えていきたいと思います。

ドベネックの桶

まず【リービッヒの最小律】と【ドベネックの桶】について、Wikipediaから少し学んでみましょう。

【リービッヒの最小律】とは、

植物の生長速度や収量は、必要とされる栄養素のうち、与えられた量のもっとも少ないものにのみ影響されるとする説。ドイツの化学者・ユーストゥス・フォン・リービッヒが提唱した。リービッヒは、植物は窒素・リン酸・カリウムの3要素が必須であるとし、生長の度合いは3要素の中でもっともあたえられる量の少ない養分によってのみ影響され、その他2要素がいくら多くても生長への影響はないと主張した。後に養分以外の水・日光・大気などの条件が追加された。現在では、それぞれの要素・要因が互いに補い合う場合があり、最小律は必ずしも定まるものではない、とされている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
引用元: Wikipedia リービッヒの最小律

【ドベネックの桶】とは、

リービッヒの最小律を分かりやすく説明するものとして、ドベネックの桶が知られている。植物の成長を桶の中に張られる水に見立て、桶を作っている板を養分・要因と見立てる。これならば、たとえ一枚の板のみがどれだけ長くとも、一番短い部分から水は溢れ出し、結局水嵩は一番短い板の高さまでとなる。”

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
引用元: Wikipedia リービッヒの最小律

画像:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Minimum-Tonne.svg?uselang=jaより

運動という桶の『素材』と『置かれた環境』

まず私たちがなぜ動くことができるのか、どのような法則のもと動いているのかを考えてみましょう。

私たち人間は、万有引力の働く地球という大きな球体の表面にいながら、その中心部に向かって引き寄せられる『重力』という力の存在する環境下で生きているという大前提があります。

その地球の表面上であっても、
浮力が働き、流体抵抗の大きい水中でもなく、
空中を飛び回るわけでもなく、
重力のない宇宙空間でもありません。

シータ ”土から離れては生きられないのよ”
(天空の城ラピュタより)
           ということですね。

動くということ。

『重力』の存在する地球上において、『慣性の法則』『加速度の法則』『作用・反作用の法則』などの力学が働き、

『時』の流れる時空間内で、

ヒトの体内で能動的に動く『筋肉』の活動により、『骨』が動き、その骨の動きは『関節の可動域』によって制限され、これら『関節周囲に生じた力』がある一定の『ベクトル(力の方向性)』をもって、全身で『連動』し、動きを形成しています。

他にも様々な要素が重なり絡まり合って今のそのあなたの動きが作り上げられています。

変えられるもの・変えられないもの

地球上で働く物理法則に抗うことはできないので、変えられるのは私たち自身の身体だけです。

そこで、動作を成立させるために、私たちの『身体の桶』がどのような板(要素)から成り立っているのかを考えてみましょう。

例えば、わかりやすく【地面を蹴って前に進む】という場面を考えてみた場合、

(だいぶ前に剣道をしている学生に説明した時の図ですが、『歩く』という動作においても基本は同じです。)

地面に接して力を加える部分は足の裏(特に前足部)ですね。体幹・下肢全体から発揮された力が連動し、身体の重心からこの前足部に向かって力が加えられます。これにより地面からの反作用(床反力)を得て、重心を前方へ押し出す力となり、身体が前に進む、という流れとなります。

この場面での桶の板は、大まかに言うと

・前足部で地面を蹴る力
・足首のバネ力(アキレス腱の弾性エネルギー)
・股関節周囲筋(特に大腰筋・ハムストリングス)のパワー
・体幹の安定性
・重心位置
・体幹・下肢で生み出したエネルギーの連動性とその総合力としてのベクトル

などとなります。(細かい部分はもちろんまだまだあります。)

桶の板が短いとどうなる?

この【地面を蹴って前に進む】という場面で、体幹部分は強いのに、前足部(つま先)が弱いという場合を考えてみましょう。
つまり体幹の桶の板は長いのに、前足部の板は短いという状況です。

前方へ進む際に、体幹部分で大きなパワーを発揮することができる。しかし地面に力を加えるべき末端部分が弱いため、足首から先で力が逃げてしまう(※)という状態となるのです。(※アキレス腱をバネとして使えない、土踏まずが潰れる、などです。)

この場合、パフォーマンス的には地面を蹴る力が弱い分、スピードが遅くなり、一歩の移動距離が短くなる可能性がありますが、問題はそれだけにとどまらず、身体構造的には足首から先の弱い部分(特に関節)に負担をかけることとなります。

例えば、足首周囲の弱さ」は捻挫やアキレス腱炎などにつながる可能性があり、足指の弱さ」は扁平足、足底筋膜炎などの足部傷害につながる可能性があるということです。

結果的に、前足部の弱さが、

・パフォーマンスの低下
・慢性障害(慢性痛)
・怪我

に繋がってしまうのです。ということは、裏を返してみれば、前足部の弱さを克服することが、同時に

・パフォーマンスの向上
・慢性障害の予防
・怪我の予防

につながるということになりますよね。

そのため、カラダ Design Lab.ではまず苦手な部分(弱い部分)をしっかりと見出しながら、その克服を図るのです

その苦手が克服され桶の板が長くなってくると、次に2番目に短かった部分の板が最も苦手な部分として浮かび上がっていきます。
この1番目、2番目、3番目…と出てくる低い板(苦手)を順に一つずつ高くしていく(克服する)ことによって底上げを図り、桶に溜めることができる水の量を増やすことで、全体としてのパフォーマンスの向上を図っていくのです。

これはなにもスポーツに限った話ではなく、日常生活レベルの動きでも同じことです。

桶の形は人それぞれ。

ヒトのあらゆる動きに対して、それぞれの桶があり、その桶の形状も人によって様々であると考えてみてください。(なので他人との比較はあまり意味を成しません。)

自分自身にとっての課題となる『動作の桶』は、どのような板で構成され、現在どのような形をしているのか、そのうちの短い板(苦手・弱点)は何なのか、それをどのように克服し、引き伸ばしていけばいいのかを深く考えながら取り組む運動は、たとえ時間がかかったとしてもしっかりと目指す方向へあなたの身体を変えてくれるはずです。

自分の桶の形はどのようなものなのか?
様々な動きを通して自分自身のカラダと動きを深く掘り下げて考えてみたい方は、是非一度ご来店ください♪

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本気で身体を変えていきたいと思われた方は、是非一緒にがんばりましょう!

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堤 和也
@滋賀県大津市瀬田駅前