膝の痛みでお越しになられる方などによく質問を受ける内容です。
「グルコサミンで膝の痛みって治るんですか?」
答えは…
基本的に効果は望めません…。
今回はその理由をお伝えしていきます。
Wikipediaを見てみましょう。
グルコサミン
単一成分、またはコンドロイチン(コンドロイチン硫酸)との混合物として、栄養補給サプリメントや健康食品として販売されている。経口摂取の場合の変形性膝(-しつ)関節症への効果はない。
またクマリン血液凝固阻止剤を利用している患者にとってはグルコサミン含有サプリメントは健康リスクが指摘されている。グルコサミンとクマリン血液凝固阻止剤(有効成分ワルファリン又はアセノクマロール含有)を同時に摂取すると、血液凝固阻止作用が異常に強まるリスクがあるとドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)によって指摘されている。
<効果が無いとする研究>
・50歳~60歳の6691人の女性を対象とした臨床医師が行った無作為化比較試験の結果では、治療目的でのグルコサミンの内服は、摂取と発症に関し有意な影響は見られず、発症予防の効果は証明されなかった。
・メタ分析 (2008年6月まで、2つのデータベースで検索、無作為化比較試験2報について検討) において、変形性関節症の患者によるグルコサミンの長期 (3年間) 摂取は、関節腔の狭小化 (JSN) をわずかに抑えたという報告があるが、その後、これら2試験を含むメタ分析 (2010年6月まで、4つのデータベースで検索、200名以上を対象とした大規模無作為化比較試験10報) では、膝や腰の変形性関節症患者によるグルコサミンやコンドロイチン硫酸の単独または併用摂取は、関節の痛み、関節腔の狭小化に影響は与えなかった。
引用:グルコサミン. (2016, June 26). In Wikipedia. Retrieved 14:06, June 26, 2016, from https://ja.wikipedia.org/w/index.php
title=%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%82%B5%E3%83%9F%E3%83%B3&oldid=60236727
口から食べたものが、そのまま痛みのある関節にだけ効くとお考えですか?
消化の際に分解されてしまう可能性ありますし、そもそも吸収されたとしても血流に載って全身に行き渡るわけです。
そう考えれば痛いところにだけ届いて、その部分を修復してくれるなんて、思い通りにことが運ぶとは考えにくいですよね。
テレビCMでPRされる
「膝の痛みはすべて軟骨のすり減りが原因」という錯覚
さらにこのようなグルコサミンやコンドロイチン、コラーゲンなど関節の軟骨の成分を配合されたようなサプリメント、健康食品がPRするイメージは関節(特に膝)の痛みはすべて軟骨のすり減りが原因であるかのように錯覚させます。
テレビCMなんかを見ていると、
”
階段の上り下りがつらい…
立ち座りがつらい…
こんな方に、「グルコサミン」と「コンドロイチン」!
飲んだ方からの声で、
「飲み始めてから痛みがなくなった」
「スムーズに動ける」
「心置きなく出掛けられる」
「正座が出来るようになった」
とお喜びの方が多数おられます!
”
というようなことなどが言われますね。
CMによる洗脳効果は絶大!
あんなにもテレビで長期的に大々的に宣伝されれば、
「本当に?」と最初は
疑問を持っていたとしても、
こんなにCMで流れるのであれば…
こんなに売れているのであれば…
と徐々に「少しは効くのかも?」という期待に変わり、
いつの間にか「私も試してみようかしら。」になるのです。
そもそも軟骨は再生が難しい!
そもそも軟骨は再生が難しい組織な上に、
痛みが関節にあるからといって、みんながみんな関節の軟骨がすり減って痛みが出現しているわけではありません。
まずそのことに気が付きましょう。
軟骨が磨り減らなくても、関節周辺に痛みを引き起こす組織は山ほどあります!
飲んで症状が軽くなったと感じた方の中には、膝の痛みや動きにくさの原因が軟骨のすり減りではなかった方がいる可能性についても考えてみましょう。
飲んでいなくてもいつの間にか消えていた可能性もありますし、
サプリメントに頼るほど痛みに悩んでいれば、サプリメント以外にも取り組んでいることがあるかもしれませんし、その効果かもしれません。
軟骨が痛む程であれば、半月板も傷んでいます。
さらにそもそも論が続きますが、
膝の軟骨がすり減るレベルであれば、すでに半月板もかなり傷んでいるはずですので、
・膝がゴリゴリ鳴る
・ポキポキなる
・膝が引っかかる感じがする
などの症状がすでに出現している場合がほどんどかと思います。
変形性膝関節症の一番の原因は?
変形性膝関節症で関節のすり減りに関与している一番の要因は、
「膝への過剰な力学的負荷」
に他なりません。
つまり、
「軟骨の許容量を超えるような過剰な負担が加わりすぎている」
ということです。
単純に考えてみれば、
O脚であれば、膝の内側に負担が増えやすく、
X脚であれば、膝の外側に負担が増えやすいということです。
もちろん体重の増えすぎもその一因です。
その両者が存在すれば相乗的に負荷はさらに増大するのです。
予防的に膝の状態を改善させていきたいのであれば、
負担を増大させている身体状況を改善させていく他ないのです。
「すり減ったから、上塗りする」のではなく、
「すり減らない状況を作る」ことが解決への道です。
サプリメントすべてに全く効果がないとは考えていませんが、
あくまで「補助的なもの」と捉える必要があります。
摂取する場合には単一の栄養素ではなく、バランスを考えながら複合的に摂ることが重要です。
P.S.
wikipediaにあるように、ワーファリンなどを服用中の方がグルコサミンを摂取すると、薬の効果が増強しすぎる可能性が指摘されていますので気をつけましょう!
滋賀県大津市石山のリハビリ整体院
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堤 和也