『片脚立ち』ってどのようにして成り立っているの?
脳卒中片麻痺に限らず、
片脚立ちが上手くとれるかどうかは非常に重要な要素。
歩く、階段を昇る、走るなどの物理的な手段を介さずにヒトが移動する動きはすべて片脚立ちの連続だから。
二足歩行で生活するヒトだからこそ要求される片脚立ちという能力。
健常者でも片脚立ちが苦手な人は非常に多く、それで膝や股関節、腰など痛めたりしている場合も多々あるので注意が必要です。
是非自分自身の片脚立ちを見直してみてください。
30秒くらいは余裕で保てるようになりたいものです。
(崩れた状態で安定してしまっていては身体を痛めてしまうだけなので、秒数が長ければ良いというものではありませんが…。)
脳卒中片麻痺では、片脚立ちでの身体づかいが適切な状態から大きく崩れてしまう
さて、脳卒中片麻痺の方の片脚立ちに着目していきたいのですが、
片麻痺の方はその脳の損傷部位や範囲によって麻痺の程度は千差万別です。
そもそもできないという方もたくさんおられると思いますので、
今回は、歩行可能なレベルの方で考えていきますね。
多くの場合、麻痺側の脚に体重を載せて支えようとすると、脚全体を固めて踏ん張って支えようとしてしまいがちです。
運動麻痺に加えて、感覚障害も起こっている場合がほとんどなのである程度仕方がない部分ではあるのですが、このような状態で麻痺側の脚に体重を載せるとその次の一歩が非常に出しにくくなります。
このような麻痺側の支え方だとどのような歩き方になるかというと、
麻痺側の脚を地面に置く
→麻痺側の足裏に重心を載せにいく
→脚の力が抜けて崩れてしまわないように、重力に対して身体を上方へ持ち上げるように力を入れて支える
→支えるために踏ん張って硬くなった脚のまま、反対側の脚を前に出す
→麻痺側の脚を地面から持ち上げて、前方へ置きにいく
このような歩き方になることがほとんどです。
下記の動画の前半部分の歩き方がまさしくそのような歩き方ですね。
麻痺のない健常な方でも是非試していただきたいのですが、
片脚で太ももの前に力を入れるように腰を低くした状態(スクワットをした状態)で、反対側の脚を一歩前に踏み出すように動いてみてください。
ものすごく脚が出しにくいのがわかりますか?
「そんなに頑張って支えなくてもいいよ!」
っていう感じです。
この状態から抜け出すために、
「不十分」な筋活動を「促通」し、
「不要」な筋活動を「抑制」し、
適切な筋活動がうまく引き出せるようになった段階で、
それを全体の中で統合させる方法と、
脱力の方法を身につけていきます。
このように片脚立ちに必要な要素が獲得されてこれば、
脱力と同時に、次の動作に最低限必要な筋活動を引き出し動作に繋げていく。
アライメントとして身体各部位を適切な位置に整えるだけでは不十分で、
安定の中に不安定を、不安定の中に安定を求めることによって
『静』と『動』が一体化する。
あらゆる身体活動が連続性、つまり前後の動作の繋がりの中で引き出される。
そのような視点でリハビリに取り組むことができると、
そのリハビリの質がさらに高まっていきますよ。
カラダと姿勢・動きをデザインする。
カラダ Design Lab.
カラダデザインラボ
堤 和也
@滋賀県大津市石山