前回は簡単なエクササイズを通して体幹の動きを引き出していきましたが、
今回は、手足の動きと体幹の動きとのつながりまでを考えてみましょう。
手足の動きは体幹と連動する!
カラダを外見的に捉えた場合、頭頸部、四肢(上肢・下肢)、体幹に大きく分けられます。
そのため動きを考えたときに、この手足と体幹を分離させて、それぞれ別個でトレーニングしてしまいやすいのですが、手足の動きと体幹の動きは必ず連動することを忘れてはいけません。
この連動がうまく働かなくなったときに、体幹がうまく機能しなくなるのです。
比較的わかりやすい例でいうと、
「猫背だとバンザイの手が上がりにくくなる」
「骨盤が動かなくなると歩幅が小さくなる」
などですね。
うまく連動させるために、四肢(手脚)と体幹を結ぶ部分の動きが重要!
前回載せた体幹の図をもう一度見てみましょう。
体幹と上肢(腕)を結ぶ部分には「肩関節」があり、
体幹と下肢(脚)を結ぶ部分には「股関節」があります。
肩関節については純粋に「肩」の部分で動くことは少なく、必ず『肩甲骨』が連動して大きく動きます。
上肢の動きと体幹の連動性を高めるには「肩関節・肩甲骨・鎖骨」を含めた『肩甲帯』の動きが非常に重要となり、
下肢の動きと体幹の連動性を高めるには『股関節』の動きが非常に重要となります。
手の動きと全身との連動性を感じてみよう。
まず、立った状態で手を楽に下ろしてみましょう。
手の親指の向きを意識しながら、親指を前から内側 →後ろ →外側へ向きを変えていきましょう。
このとき、全身の力は楽に抜いておいてくださいね。
親指を内に向けていくと、まず前腕が捻じれます(回内)。そして上腕が捻じれ(内旋)、その動きが肩関節を介して、肩甲骨を前方へ引っ張り出してきます(肩甲骨の外転)。するとその動きに合わせて鎖骨、肋骨も前方へ引き出され、結果的に背骨も捻じれてきます。
逆方向に親指の向きを変えていくと、すべて逆方向に動きが繋がって引き出されてきます。
手の位置を色々と変えながら、先ほどと同じように親指の向きを意識しながら上肢をねじっていくと、その手の位置に合わせた動きが引き出されやすくなります。
パフォーマンスを上げていきたい手の位置で動きのトレーニングをするのもいいですね。
手と全身との連動性を高めるトレーニング(手のひら返し)
※うまく連動して動かない場合には、「動く部分」と「動かない部分」との境目で連動性が途切れているのかもしれません。その境目の部分が見極められれば、どうすれば動きが繋がっていくのかを探してみましょう。
腕の動きに必須の前鋸筋
腕の動きと体幹をしっかりと連動させるために特に重要な筋肉が
『前鋸筋』
という筋肉です。
肩甲骨の内側から肋骨にかけて、大きなノコギリ状の形をしています。
この「前鋸筋」は、カラダの『軸』を作る上でも非常に重要な役割を果たします。
立甲
この前鋸筋を機能させ、脇がうまく使いこなせてくるとこのようなこともできるようになってきます。
脇を使って腕が動かせるようになってくると、体幹との連動性が高まるだけでなく、
軸の作りやすさ、手の動きのしなやかさ・美しさも引き出されてきますよ。
次回は、「脚」と体幹との連動性の高め方についてまとめていきます。
カラダと姿勢・動きをデザインする。
カラダ Design Lab.
カラダデザインラボ
堤 和也
@滋賀県大津市石山