前回の癒着に関する記事の続きです。
前回の記事はこちら↓
実際のキズを見ながら考えよう。


写真のようにキズ跡がありますね。
この方の場合、このキズの下には骨を繋ぐためのプレートやスクリューが入れられています。
皮膚のキズと皮膚よりも深層組織のキズとは必ずしも一致せず、手術の場合では特に正常な組織を損傷させないように避けながら修復部位へ到達するので、表面的な皮膚のキズの状態以上に皮膚の中(深層)での損傷のされ方は複雑です(しかし最小限です)。
骨折の場合には、骨折部位周辺軟部組織の損傷の影響も考えなくてはいけません。
身体の中ではすべての組織が個別にバラバラの状態で存在するのではなく、組織と組織の間は結合組織で埋められており、組織そのものに損傷がなかったとしても、結合組織には損傷が加わるのでキズ周囲の組織は硬くなりやすいのです。
そのキズ周囲の組織の柔軟性を保つために手術後、表面のキズが治癒し次第、傷口を動かすことがリハビリの中では始められていくのです。
どこで癒着が生じてくるのでしょうか?
自分の足でくるぶしを触れていただくとわかりやすいのですが、そのすぐ真下に硬い骨が触れられますよね。
このように骨と皮膚が近い部分であるくるぶしのところで皮膚を切開した場合は皮膚と骨がくっつきやすくなります。
次は外くるぶしから膝の方へ向かって手を進めてみましょう。
少しずつ柔らかい部分が出てきて、骨が少し触れにくくなりますよね。
これは骨の上にある短腓骨筋と長腓骨筋を触れています。この部分で切開されるとこれらの筋肉と骨、皮膚がくっつきやすくなります。
この方の場合、この部分に金属のプレートが入っているのでその金属とも癒着する可能性が考えられます。
癒着とは異なりますが、金属のプレートはある程度の厚みがあるので、その厚みのある部分で筋肉が擦れてしまったりすることで痛みが生じることもあります。
(場所によっては靭帯や筋肉の働きに影響を与えることがあります。)
前回の記事(キズの癒着①:手術後や組織損傷後の癒着とは?なぜこわい?)でもお伝えしましたが、このような癒着によって「隣り合う他の組織同士の間での滑走性を失う、つまりお互いが引っ付き合い、引っ張り合ってしまう」とどうなるのか?も考えていかなくてはいけませんね。
(これについては次の次の記事としてまとめます。)
次回は目に見えない癒着が及ぼす影響を具体的に考えてみたいと思います。
続きはこちら↓
※骨折の状態や手術の方法によって実際にはもっと様々な部位で起こりうる可能性がありますが、とりあえずわかりやすい部分だけを取り上げてみました。この方は実はくるぶしだけではなく、足首の前面にも手術創があり、小さなキズではあるのですが深層で生じている癒着は複雑です。ややこしくなるのでここでの記載は避けます。
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堤 和也