完全に伸びない膝を伸ばそう!《その1》はこちら
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(3年前の記事です。)
新体操やバレエ、体操、チアダンス、フィギュアスケートなど、
審美系競技で指導者に指摘されることの多い、『膝(ひざ)の伸び』問題。
「膝をもっと伸ばして」
と言われても、自分では膝を伸ばしているつもりなのに、
それでも指摘されてしまうとどうしたらいいのかわからない場合がありますよね。
膝をグイグイ伸ばすストレッチが練習の中などでなされる場合がありますが、
関節さえ柔らかければそれでいいのか、というとそういう訳にもいきません。
(このグイグイと押したり、膝の上に人が乗るようなストレッチに不安を覚える選手や親御さんも多いはず…)
ではその膝が伸びない原因がどこにあるのかを3つの視点から考えてみましょう。
関節そのものの可動域としての膝の伸び
『関節そのものの可動域』とは、自らの意思とは無関係に、他の人に関節を動かしてもらった時の関節の動く範囲を考えてみてください。
外見的には単純な構造をしているように見える膝も、解剖学的な構造は思っている以上に複雑です。
筋肉をはじめ、図示されている様々な組織の伸張性が乏しくなっていたり、組織の間で癒着が生じて滑走性が低下していると膝を伸ばす時の制限の原因となります。
この時点ですでに関節の柔軟性が低ければ、まずこの部分を改善させる必要があります。
静的な姿勢での膝の伸び
次に立った状態での膝の伸び具合を考えてみましょう。
先ほどの膝の可動域と同じだけ膝がしっかりと伸びていたでしょうか?
膝関節そのものは柔らかいのに、立つと膝が伸びにくくなる場合、立位姿勢の取り方やふくらはぎの硬さに原因が隠れているかもしれません。
特に重心位置や足裏での荷重位置などはこの膝のアライメントに影響を与えやすくなるので、膝が伸ばしやすい立ち方(膝が曲がりにくい立ち方)ができているかどうかを見ていく必要があります。
※バレエや新体操でルルヴェで立ち続ける癖がついていると、普段の生活でもつま先重心になりやすい傾向があります。そのような場合、身体が硬くならないような立ち方を身につけたり、つま先だけでなく踵(かかと)もうまく使いこなせるようになる必要がありますね。
動作の中での膝の伸び
最後に動作の中での膝の伸びです。
例えば新体操で言えば、『大ジャンプ』や『パンシェ』などで後ろ脚の膝が曲がってしまう場合を考えてみましょう。
上の写真のように後ろ脚が曲がってしまう場合、原因は膝の可動域にあるのではなく、
後ろ脚の股関節の可動域もしくは脚の後方への振り上げ方に問題があります。
この場合に、膝だけを伸ばそうと努力してもほとんど意味がありません。
股関節の柔軟性を引き出し、その股関節から脚を後方へ振り上げられるようになる必要があるのです。
膝の問題は『膝だけ』が問題なのではない。
このように、膝の問題にみえるものも、その原因を深く掘り下げていくと膝以外の部分に原因がある場合が多々あります。
ここでは3つの視点からお伝えしましたが、それ以外の原因が見つかる場合もあります。
膝が伸びない原因がわからず、お困りの方は、是非その原因をしっかりと見出し、適切に対処していきましょう。
思ってもみなかった部分に弱点が見つかるだけでなく、その部分を補強していくことでパフォーマンスアップにもつなげていくことができますよ。
カラダと姿勢・動きのトータルケアスタジオ
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堤 和也
@滋賀県大津市瀬田駅前