外反母趾、内反小趾と聞くと、多くの方が
『靴』
がその原因だと考えるのではないでしょうか?
カラダと姿勢・動きをデザインする、
カラダ Design Lab.代表の堤和也です。
ちゃんと靴を選べば問題なし?
靴はどんどん進化しており、適切な靴選びが出来ていれば問題ないはず…
しかし、靴のサイズや形状などに気をつけて、安物ではない少々高めのしっかりした靴を履いているのに、外反母趾・内反小趾を引き起こす方がおられるのも現実です。
なぜ靴に気をつけているのに足指が変形してしまうの?
なぜ、靴に気をつけていても外反母趾・内反小趾を引き起こしてしまうのでしょうか?
それは、外反母趾・内反小趾には、カラダの使い方が大きく影響しているからなのです。
あまり知られていませんが、
母趾と小趾の変形は、
『身体アライメント※』と『重心位置』、『地面との接地位置』との関係性によって
母趾・小趾の付け根の関節へ不適切かつ過度な負担加わったことよって引き起こされる病態でもあるからです。
(※身体アライメント:身体各部位の位置関係を表す言葉です。)
靴選びがしっかりとできていても、
靴を履いている本人のカラダがうまく機能していなければ、
外反母趾・内反小趾を引き起こしてしまうということです。
ではどのような身体づかいの癖があると外反母趾・内反小趾を引き起こしてしまうのでしょうか?
今回はその例を3つご紹介していきますね。
外反母趾・内反小趾を引き起こす動作の特徴
(※ここに挙げている写真の動きは、わかりやすくするためにややお袈裟に見せています。実際にはここまで明らかではなくとも、専門的に動きを分析・評価しないとわからない程度の小さな動きの中で同様の負荷が加わっている場合が多々あります。)
<歩行の特徴>
まず歩く場合を考えてみましょう。
ガニ股のようにつま先が外を向き、かかとが内を向くと、足が地面から離れるときには母趾が外を向く(外反)方向へ負担が加わります。(外反母趾)
逆に、内股のようにつま先が内を向き、かかとが外を向くと、足が地面から離れるときには小趾が内を向く(内反)方向へ負担が加わります。(内反小趾)
このように、つま先の向きや足のねじれ具合で足指に加わる負担は大きく変わるのです。
歩く時には特に後ろ側にある足が地面から離れるタイミングで、つま先がしっかりと前を向き、かかとが後ろを向いていることが理想ですね。
次に片脚に体重を載せて踏ん張る場合を考えてみましょう。
<踏ん張りの特徴>
上の写真のように膝が内に入ってしまうと、スネの骨が内側へねじれ、同時に土踏まずがつぶれやすくなります。すると足の内側に過度に体重が加わり、スネのねじれを相殺するように前足部が外向きにねじれ、母趾が外反する方向へ負担が加わります。(外反母趾)
逆に、膝が外へ流れてしまうと、スネの骨が外側へねじれ、同時に土踏まずを高く持ち上げてしまいやすくなります。すると足の外側に過度に体重が加わわりつつ、スネのねじれを先ほどとは逆に相殺するようにして前足部は内側へねじれ、小趾が内反する方向へ負担が加わります。(内反小趾)
特に、下の写真のように膝がつま先よりも大きく前に出てしまうような動きの癖があると、股関節がうまく機能しないので、必然的に膝が不安定となりやすく、結果的に母趾や小趾に負担をかけてしまっている場合もあります。
最後につま先で踏ん張ったときの状態で考えてみましょう。
<つま先立ちの特徴>
今回はわかりやすくするために、つま先立ちをしてみています。
かかとを内に向けて、つま先を外に向けた状態のまま母趾球に荷重すると、母趾の内側に体重が加わりやすくなり、結果的に母趾を外反させる方向へ負担が加わります。(外反母趾)
逆にかかとを外に傾けて、小趾球に荷重すると、小趾の外側に体重が加わりやすくなり、結果的に小趾を内反させる方向へ負担が加わります。(内反小趾)
ここまで見てくると、つま先の向きと膝との関係性で負担の加わり方が変化することが見えてきますね。
じゃあ、つま先と膝の向きだけに注意すれば大丈夫かというと、それだけでは十分に改善されてこないケースが多く存在します。
意識的に向きを合わせようとしたときにしっかりできていても、無意識でそれができないと意味がないのです。
ではどうすれば無意識でもそれができるようになるのでしょうか?
外反母趾・内反小趾になる負担を減らすための必須ポイント
そのためには、まずは股関節をしっかりと使えるような身体づかいに変えること。
そして、足趾の使い方をはじめ、足裏での踏ん張りを適切なものに変えることが最低限必要です。
足趾機能を高めるためのエクササイズとして、最近私がよく指導するのが『蹲踞バランス』、『蹲踞歩き』です。
(これについてはまた別の機会にご紹介しますね。)
これだけでも負担のかかり方は大きく変わりますが、
実際の臨床ではこれほど単純ではなく、様々な問題が複合した結果、外反母趾などの症状として出現している場合も多々あります。
そのため癖付いてしまっている動作を修正していくには一筋縄でいかないこともしばしばです。
まずは大まかでいいので自分自身の動きの癖を見つめ直しながら、負担をかけない身体づかいをしっかりと身につけてくださいね。
カラダと姿勢・動きをデザインする。
カラダ Design Lab.
カラダデザインラボ
堤 和也
@滋賀県大津市石山