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フィギュアスケートに必要な「体幹」とは?②:体幹を自由に操る

今回は前回の記事
フィギュアスケートに必要な「体幹」とは? 〜①体幹の強さを定義する重要性〜

に引き続き、
フィギュアスケートに必要な「体幹」についてまとめていきたいと思います。

まずは体幹の構造を知ろう!

体幹とは、大まかには四肢(手足)を除いた部分をいいます。

手足の動きは目で見て分かりやすいので、肩から先、股関節(足の付け根)から先がどのように動いているのかは捉えやすいですよね。

しかし、体幹は外見的には一つの大きな塊のように見えるので、カラダの専門家でもなければ外見から詳細に動きを捉えることは容易ではありません。

体幹の骨を見てみよう。

・頭蓋骨
・26個の背骨(頚椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨)
・胸椎につながる左右12対の肋骨
・前方で肋骨同士をつなぐ胸骨
・胸骨から肩甲骨へつながる鎖骨
・左右1対の肩甲骨
・仙骨からつながる左右1対の寛骨

それぞれ骨と骨が隣り合う部分では関節を形成し、
関節のある部分には必ず動きがあります。

頭蓋骨を除いても60近くの骨があり、関節の数はその倍以上になります。

(背骨は上下に左右2対ずつ関節があるので、一つの骨だけでも関節を形成する部分(関節面)が4つもあります。胸椎に関してはこれに、肋骨が2本接続し、肋骨1本に対しても2箇所関節を形成するので、倍なんてレベルではないですね。)

それぞれの手足にある関節の数とは比較にもなりません。

このように一塊に見える体幹は、非常に複雑な構造をしており、それだけ動きも複雑になります

体幹を締めて、固めて使うようなトレーニングばかりしていると、この動きの複雑さが活かされてこないのです。

粗雑な動きの筋トレばかりしていても同様です。

複雑な体幹の骨を動かしてみよう。

体幹を動かす方法は山ほどありますが、
誰にでもできる、簡単なエクササイズを幾つかご紹介します。

体幹の骨を細かく動かすことで、筋肉を緩めながら柔軟性を高めていきます。

・肋骨を押して動かす
・骨盤を前後に転がす
・お尻(坐骨)を座面に擦り付ける
・みぞおち左右スライド・前後・ローテーション
・みぞおちで(カヤックの)パドルを漕ぐ
・肩を回しながら、背骨を波打たせる

※動画では、地べたに座って行っていますが
地べたがしんどい方は椅子に座った状態でもOKです。

呼吸を介して肋骨を自在に操るのもオススメです。
(動画だと動きが小さくてわかりにくい割に時間が長くなるので省きました。)

身体各部位の動きとアライメント(位置関係)がしっかりと認識できているか?

次に、最初に示した骨の構造と以下の動きをイメージしながら先ほどの運動をもう一度実施してみましょう。

・肋骨がぐにゃっとつぶれるイメージ

・骨盤が前後に転がるイメージ

・骨盤が揺れるイメージ

・背骨が前後左右に波打つように動くイメージ

・背骨がねじれるイメージ

動きの中でこのようなイメージを膨らませながら、
身体各部位がどのような場所でどのような動きをしているのか、
その位置関係を捉えてみましょう。

同時に、カラダの内的感覚としての動きの理解を深めていきます。

姿勢を蔑ろにしていてはいけない。

※蔑ろ:(読み)ないがしろ

フィギュアスケートだけでなく、バレエ、新体操、社交ダンスなどでは、胸を突き上げたような姿勢を取りますので、全体的に背筋を強く使った姿勢を取ってしまいがちです。

胸を突き出しながらも、背中の筋肉に力が入りすぎていない姿勢が保てていると良いのですが、これがなかなか難しい。

特に背骨が硬いと、胸椎をうまく伸展させられず、胸を突き出す動きを腰で作ってしまいがちになります。

すると反り腰が強まり、腰痛の原因になってしまうだけでなく、お腹に力が入りにくくなるので、体幹の安定性も乏しくなるのです。

体幹の動きと安定性を両立させるためにも、
「臍下丹田」を機能させることが大切。

よく姿勢や動きの指導の際に、

「骨盤を立てる」

「仙骨を立てる」

「ホームベースをつくる」

(ホームベースとは、左右のASIS、恥骨、第10肋骨を結んだ面。)

などと言われますが、これらの意図するものは概ね同じです。

姿勢を保つ際に、骨盤を地面に対して垂直に立てた状態をうまく保てるようになることが重要です。

動けば必ず骨盤も傾きますが、「いつでもこのポジションに戻ってこられる」ということが大切。

この「骨盤を立てる」動きがコントロールできるようになると、自然と臍下丹田(下腹部)に力がこもりやすくなり、動きの安定性にもつながりやすくなります。

そのため普段の姿勢、例えば「地べたに座る」、「椅子に座る」、「立つ」といった姿勢を保つときに骨盤を立てた姿勢が自然ととれていると、それがそのまま体幹トレーニングにもなるということです。

つまり、

体幹の骨を細かく動かし、筋肉を緩めることで柔軟性を高めた上で、

体幹の動き・アライメントをコントロールしつつ、

姿勢を適切な状態に保つ

ことが、体幹機能を高めていくための土台となるのです。

次回は、これらを踏まえた上で、
手足の動きと体幹のつながりについてまとめてみたいと思います。

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カラダデザインラボ
堤 和也

@滋賀県大津市石山