フィギュアスケートに必要な「体幹」とは?①:体幹の強さを定義する

2018年2月6日 カテゴリー:新体操・体操・バレエ・フィギュアスケート 記事執筆者:堤 和也

先日、カラダ Design Lab.としては、初めてフィギュアスケートでのパフォーマンスアップにお悩みの方にお越しいただきました。


指導者に「体幹がない」、「体幹が弱い」と指摘され、体幹を強くするためのトレーニング、俗に言う「体幹トレーニング」を求めてお越しになられたのですが、この体幹トレーニングというもの皆さんはどのように捉えますか?


今回はフュギュアスケートでの動きをベースに「体幹」について考えを深めていきたいと思います。



そもそも「体幹がない」、「体幹が弱い」などといった表現は
どのような状態を指して言われるのか?




体幹機能が必要とされない場面は、そもそも「ない」のですが、
どのような場合に「体幹がない・弱い」といった表現がされるのでしょうか?

例えば、
・着地の際にグラグラする、ふらつく
・回転時の軸がぶれる
・体が流れる
・軸がない


といった動きがみられたときに、指導者などに言われるかもしれませんね。



求められている「体幹の強さ」が
どのような状態で定義されるのかを考えなくてはいけない。




・ジャンプで着地したときの体幹なのか?
 →「体が流れない」「次の動作へスムーズに移行できる」など


・回転するときの体幹なのか?
 →「軸がぶれない」「回転数をコントロールすることができる」など


・ステップを踏んだときの体幹なのか?
 →「動きの切り替えがスムーズに行える」「動きにキレがある」など


・スケーティングしているときの体幹なのか?
 →「氷を蹴った力がうまく全身に伝わる」「スピードに乗りやすい」など


・バランスをとっているときの体幹なのか?
 →「ふらつかずに安定している」など


・手の動きで表現しているときの体幹なのか?
 →「指先まで柔らかく動かせている」「手の動きがしなやかで美しい」など



この全てにおいて、体幹に求められる機能・能力は細かく異なります。


また「体幹の弱さ」と表現される中に、体幹以外の機能が重要である場合もあります。


一概に「体幹の弱さ」と表現されても、動作によってその本質は大きく異なるため、その体幹の弱さ一つ一つを細かく具体的に定義し直した上で、体幹機能を高めるためのトレーニングに取り組む必要があるのです。



俗に言う「体幹トレーニング」だけでは、
体幹機能が改善されてこない大きな理由




体幹トレーニングで実施されるものの多くは、

体幹の筋トレ


です。


「体幹の筋力をつけて、体幹を強くしよう!」

「体幹を締めて、ガチッと硬い体幹を作ろう!」
というものが主流です。


しかし、体幹の筋力がつく、つまり発揮できる筋力が増えることでパフォーマンスが上がることが期待できる状況としては、
「体幹の筋力が目的とする動作を遂行する上で足りていない場合」
ですよね。


ガチッと硬い体幹でパフォーマンスが上がるのも、
そのような場面が必要とされる場合のみです。


しかし先ほど挙げたように、「体幹の強さ」をより詳細に定義したときに、体幹に求められる機能は場面によって異なるため、競技全体を通して見た場合には、その全てを併せ持った状態が理想的な体幹と定義できます



そこが定義できるようになると、

・各々の状況を想定したトレーニング、
・それぞれ必要な要素を併せ持ったトレーニング、


に取り組む必要性と方向性が見えてきます。



では「どのようなトレーニングに取り組んでいけば良いのか?」については次回に、
もう一息考えを深めてみます。




カラダと姿勢・動きをデザインする。
カラダ Design Lab.
カラダデザインラボ
堤 和也

@滋賀県大津市石山