ばね指などの腱鞘炎を主とした疾患においては、日常的な『手・腕の使い方』が非常に大きく影響していることが考えられます。
あまり議論されることのない、ばね指・腱鞘炎を引き起こす/改善させる「身体の使い方」。
今回はこれについて考えてみましょう。
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ばね指とは? 原因と一般的な治療法
(成人における)ばね指とは、靭帯性腱鞘が手指の繰り返し動作や機械的な摩擦刺激による炎症により、浮腫や線維化が引き起こされて狭窄することが原因と考えられています。
これにより指を屈曲・伸展させたときの痛みと引っかかり(弾発)が生じます。
その治療法としては、局所の安静保持、非ステロイド抗炎症薬の内服、軟膏の塗布、ステロイドの腱鞘内注入と、場合により温浴中の屈伸訓練、マッサージや装具療法などが行われます。それでもどうしようもない場合には手術が選択されることもしばしばです。
しかしこれらはどれも腱鞘や腱が炎症を起こしたことに対する対症療法でしかありませんよね…
特にステロイドの腱鞘内注入(注射)は奏功しやすいようですが、一過性の皮下脂肪組織の萎縮や皮膚の白色変性、頻回の注射による腱の皮下断裂などを生じさせるリスクが伴います。ステロイドによる抗炎症作用が局所的な炎症を抑え込むわけですが、ステロイドの副作用については様々なものがあり、できれば使いたくない薬の代表格かと思います。
では、薬や手術に頼らずにどのように改善を図っていけばよいのか?
ここでは「身体の使い方」について考えてみたいと思います。
なぜ腱鞘炎を引き起こすような状態になるのか?
そもそも、なぜ指を使いすぎて腱鞘炎を引き起こしてしまうのでしょうか?
指先に過剰に力を入れ過ぎてしまっていることが大きな原因であることは間違いありません。
指先を強く使ってしまいがちな人は往々にして肩甲骨周りなど体幹に近い部分を動きの中でうまく使えていない場合が多く認められます。つまり肩甲骨周り、肩などをカチカチに固めてしまい、指先だけで力を発揮しようとしてしまうのです。(逆に体幹[鳩尾やおへそ周囲]などはうまく使えておらず力が抜けてしまっている場合もあります。)
さらに姿勢が悪くなっていることもそれに拍車をかけます。
これらはおそらく習慣づいており無意識に行われているもので、本人にその自覚はほとんどないかもしれません。
指先だけで力を発揮しようとすると、その力を生み出す腱やその腱を支持している腱鞘などの組織に過剰な負担となることは明らかです。特に手指先端まで続く、長母指屈筋や浅・深指屈筋、長母指外転筋など※で生じやすく、そのような人では指の先端ばかり力を込めて作業しやすい特徴があります。
ちょうどばね指を引き起こす原因となる筋肉の腱はこれらにあたるものばかりです。
薬や手術に頼らない具体的な解決方法とは?
ではどうすればよいのでしょうか?
①まず指先の使い方を変えましょう。
指先先端だけでものをつかんだりするのではなく、指の腹や指全体を使うようにします。これだけで腱鞘炎を起こしやすい筋肉にかかる負担は大きく減ります。
②そして力を生み出す力源を手指末端ではなく、もっと胴体(肩甲骨周り・体幹)に近い部分に持ってくる必要があります。
力を入れる部分の意識を指先から手首→肘→脇→鳩尾→股関節→…へとどんどん離れた部分へ移動させていくのです。すると指先への意識が徐々に薄れてゆき、過剰に指先の力に依存していたものが、身体全身を使って目的とする動作が行えるようになるのです。指先で触れる感覚もソフトになっていきます(ソフトタッチ)。
③これと同時に肩甲骨周りのコリや首のコリは取り除いておくとより効果的です。胸椎を中心とした背骨の柔軟性も獲得できるとなお良いですね。
④そして、身体の中に軸をしっかりと感じられるような良い姿勢に変えていくことも重要です。軸があるかないかで体幹からしっかりと力を生み出せるかどうかに関わってくるからです。
→blog:「軸」を作るということ
⑤また、指先に力を強く入れるような身体の使い方をしている場合であればで、手首から肘にかけての部分である前腕の筋肉(上記※の筋肉たち)にハリ(コリ)を認めやすいので、ストレッチやマッサージなども併用し筋肉そのものの柔軟性も高めておくと、より腱鞘炎を起こしている部分への負担が減りやすくなります。
これらは①〜⑤は各々で個別にやるというよりは、すべて並行して取り組んでいくことが一つのポイントになります。
即時的な効果があるものばかりではありませんが、炎症を起こしている部分への負担を減らすことになるので、炎症反応そのものを落ち着かせやすくなります。すると、痛みが出現しにくくなる上に動作の質も高まるので、一旦症状が落ち着いてしまえば再発を予防することも可能です。
(もちろん、良い身体の使い方を無意識の状態でも維持できるようになるまで、しっかりと身体と向き合い続けることが前提ですが。)
カラダ Design Lab.では上記のような考え方で、複数回に分けてそれぞれを獲得していただけるよう各々の方の状態に応じてアプローチを組み立てていきます。 是非一緒に身体の状態を改善させ、より良い身体の使い方を手に入れましょう。
きっと嫌な痛みや不快な症状も解消できるはずです。
このような考え方は外側上顆炎(テニス肘)などでも応用が可能ですね。
→blog:和太鼓を打つときの肘の痛み
さらに考察を深めていくと、「炎症を起こしやすい体内環境(食・栄養など)」にまで考えを至らせることもできますが、これについてはまた別の機会に…。
滋賀県大津市石山のリハビリ整体院
カラダ Design Lab.
カラダデザインラボ
堤 和也
ばね指による痛みや引っかかり感にお悩みの方は是非ご相談ください。
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