少し前になりますが、病院で種子骨障害と診断された陸上中距離の選手にお越しいただきました。
陸上競技では滋賀県内でトップレベルの成績を残している中学生です。
そんな中、種子骨の痛みから走ることができなくなり、
ついには歩くのにも痛みが出現、思うように歩けないような状況…
カラダ Design Lab.に来るまでは、
接骨院での電気治療とマッサージのみ。
整形外科ではインソールを作成するも痛みは何も変わらず…
とあるところからの、ご紹介でお越しになられました。
種子骨とは?
今回は足の親指の付け根の部分の種子骨の痛みでした。
指を伸ばしても痛い、押さえても痛い、踏ん張ると一番痛い…
全て痛みは種子骨で出現し、その他の部位では全く痛みはありません。
では、なぜこのような状態になったのでしょうか?
なぜ種子骨に負担がかかるのか?
種子骨に負担がかかる直接的な原因は、大きく分けて3つ考えることができます。
1つ目は、
種子骨についている筋肉に負担がかかることによるもの。
これは、足裏の筋肉に負担がかかりすぎることで種子骨を引っ張るような力が加わることによって起こるものです。
その力により、筋肉が種子骨にくっつくところで炎症を起こしたり、種子骨そのものの位置を変えてしまうことによって痛みが生じます。
種子骨だけではなく、問題を起こしている筋などの周辺の組織に痛みが生じる場合もありますね。
2つ目は、
種子骨そのものに体重がかかりすぎていることによるもの。
種子骨に体重がかかると、体重と地面からの反力により種子骨が挟みつぶされるような力が加わります。
その力が過剰に加わり続けることで、骨そのものが傷む(炎症を起こす、壊死する等)ことによって、痛みが生じます。
場合によっては疲労骨折することもあります。
3つ目は、
外反母趾のように、親指のアライメント(骨と骨の位置関係)が崩れることで、種子骨の位置がずれることによるもの。
外反母趾となると、親指が内側に曲がるだけではなく、骨がねじれ、本来付け根の真下にあるはずの骨が外を向いたりします。すると、位置が変わることによる痛みだけでなく、種子骨が本来あるべき位置にない状態で体重が加わるので痛みが生じやすくなります。
アライメントの異常による痛みは、①のような筋肉に引っ張られることによる病態の複合的に出現する可能性も考える必要があります。
今回出現していた足の症状は?
今回の場合は、
・土踏まずが非常に高い(ハイアーチ)
・足首・足指の柔軟性が低い
・足首・足指がうまく動かせない(つま先の上げ下げや、指でのグーパーがうまく行えない)
・足の裏の筋肉がカチカチ
に硬い
・アキレス腱からふくらはぎにかけて、セルライト(硬化した皮下脂肪)が発生。皮下脂肪が筋肉と癒着しており、皮膚が動かない
という足の状態に加えて、
・足のケアはほとんどしたことがない
・種子骨障害を起こす1週間前には、ふくらはぎの肉離れを起こしている
・強化練習で、毎日かなり強く走り込みを行なっていた
ということでした。
明らかに足のケア不足です…
& オーバーワーク。
痛み以外の症状から、種子骨の痛みを考察すると…
・土踏まずが高くなることで、まず種子骨へ加わる圧が高まります。
(足裏が地面に着く「面」が小さくなるだけでなく、中足骨[指の長い骨]の角度が大きくなるため。)
・足裏の筋肉がカチカチに硬く、柔軟性がないため、土踏まずによる足そのものの「バネ」がうまく働きません。そのため、足をついた時の衝撃がダイレクトに接地面に加わります。
(主につま先で走っていたので、今回はこの接地部分が種子骨です。)
・足首が硬いため、足首でのバネもうまく働きません。
(このことが種子骨障害の直前に生じた、ふくらはぎの肉離れにも関連しています。)
・さらに、足首が硬いので足をついた時にすねの骨がうまく前に倒れてくれません。すると踵をついた際、足裏での体重がゆっくりと前方へ移動していたものが、すぐにつま先へ抜けるようになってしまいます。これもつま先への負担を増大させます。
(これは歩行もランニングも同様です。)
つまり、足に生じている痛み以外の症状は、結果的に種子骨への負担を増大させるように作用していたということです。
まずはこれらの部分を改善させないことには、根本的な解決には至りません!
ではどのように対処するのか?
種子骨に出現していた痛みは、種子骨そのものに圧が加わりすぎていることによる痛みでした。
現状で、インソールによって痛みをごまかすことはできても、根本的な改善を目指すことは難しいことをお伝えした上で、
・種子骨に負担をかけない歩き方、
そして
・足(足の指からふくらはぎまで)を中心としたケアの方法 (全身についても少し)
・足指のトレーニング(特に足裏にある筋肉)
をみっちりとお伝えしました。
(普通に部活動している中ではここまで細かく習うことはほぼありませんね…)
毎日継続して実施してくれていたことで、
1ヶ月後にお越しになった時には、痛みなく歩ける状態を自分の力で作り上げてきてくれました。
歩き方も良くなりました♪
早期の競技復帰を目指していたので、そこからは走るための身体の使い方の練習!
今まではがむしゃらに走ることで何とか結果を残せてきたけれども、
これからは、
さらにパフォーマンスを高め、より成績を上げていくためにも、
「カラダで感じながら走る」、そして「走るために考える」必要性をお伝えしました。
痛みを乗り越えて、より高みへ。
競技人生まだまだこれから!
応援しています!
カラダと姿勢・動きのトータルケアスタジオ
カラダ Design Lab.
カラダデザインラボ
堤 和也
種子骨の痛みにお悩みの方は是非ご相談ください。
今回はテーピングを使用しませんでしたが、症状や痛みの原因に応じてテーピングなども実施します。
↓
是非、こちらも参考にしてみてくださいね。
→【怪我をチャンスに変える! (カラダ Design Lab. for sports)】