カラダと姿勢・動きのトータルケアスタジオ カラダ Design Lab.®︎

キズの癒着①:手術後や組織損傷後の癒着とは?なぜこわい?

今回はカラダ Design Lab.でも対応させていただいている「癒着」の問題について詳しく考えてみたいと思います。

「癒着」とは?


本来は分離しているはずの臓器・組織面が、外傷や炎症のためにくっつくことを言いいます。

外科手術によって生じる癒着は本来、縫合や修復といった手術操作で組織同士をくっつける際に組織反応として起こる傷が治癒するための反応(創傷治癒反応)です。

創傷治癒反応が起こらないことには外科手術は安全に行えない(糖尿病の方などでは傷が治癒しにくい)のですが,その一方で外科医が意図していない組織同士がくっつくことも事実であり,これが術後の癒着としてしばしば問題となっています。

今回はこの癒着の中でも、カラダの動き、つまり筋肉や関節の動きに関わる部分について考えてみたいと思います。


皮膚から筋肉、骨までが損傷されると…?

手術や怪我によって皮膚から筋肉、骨までの軟部組織が損傷された場合を考えてみましょう。

一次治癒反応

手術で傷ができた場合には上の図のような状態になりますよね。外傷はないけれども、骨折をしているような場合には、同様のことが骨や筋肉、その周囲の結合組織の間で起こり、傷が治癒されていきます。

この図のように傷口をピタッと引っ付けた状態で、各々の層でだけ綺麗にひっついてくれれば何も問題はないのですが、傷が大きく深くなると「瘢痕組織」といって肉が盛り上がって傷がひっつくような状態となります。
このときに、周囲の組織を巻き込みながら傷を修復させてしまうのです。

癒着そのものは身体の正常な反応であり、同一組織間での創傷治癒反応は必要なのですが、隣り合う他の組織との間で癒着として生じると組織同士の間での滑走性を失うことになってしまいます。

つまりお互いが引っ付き合い、引っ張り合ってしまうのです。



そのため関節の周囲で癒着が生じると、関節の動きに伴って皮膚が動かない…、筋肉がうまく伸びない…といったような状況となり関節の動きに制限を引き起こしてしまうのです。

また傷の影響により皮膚と筋肉が引っ付いたり、骨折により骨と筋肉がひっついてしまうような場合には前記のような症状だけではなく、筋肉がうまく働かせられない、つまり筋肉が発揮できる力が弱まるということまで生じてきます。(つづく)

続きはこちら
キズの癒着②:実際のキズを見ながら癒着を考える。

カラダと姿勢・動きのトータルケアスタジオ
カラダ Design Lab.
カラダデザインラボ
@滋賀県大津市瀬田
堤 和也